こちらはアーティスト、チョン・ユギョンによるプロジェクト《大村焼》の作品を取り扱うオンラインストアです。
「大村焼」の名にある「大村」とは、長崎県大村市を指します。
1950年12月、この地に「不法入国者」とされた韓国・朝鮮人を本国へ送還するための施設――大村入国者収容所(現・大村入国管理センター)が設置されました。
また、大村市周辺には古くから「放虎原(ほうこばる)」という地名が残されています。これは、文禄・慶長の役の際に朝鮮半島から持ち帰った虎を放った場所、という伝承に由来しています。
このような背景から、「大村」という土地は、朝鮮半島と日本の「あいだ」や、「不自由」や「境界」といったテーマを内包した、象徴的な場所であると私は考えています。
国家や民族といった枠組みのあいだで揺れ続けてきた私にとって、「大村」にまなざしを向けることは、自身のルーツや歴史に向き合う行為でもあります。これが《大村焼》という作品の出発点です。
一見すると一輪挿しのようにも見える《大村焼》のフォルムは、実は1940年代、鉄不足を理由に佐賀県有田町で実際に製造されていた「陶製手榴弾」をもとに型取りしたものです。
有田焼は、豊臣秀吉による朝鮮出兵の際に連れてこられた朝鮮人陶工たちによって始められた焼き物であり、李参平はその「陶祖」として陶山神社に祀られています。
有田と大村は車で約1時間の距離にあり、朝鮮人の移動や定着といった歴史が、長きにわたりこの地域の地層のように刻まれています。
戦争によって始まり、そして再び戦争に利用される――
私はこのサイクルに、文化と戦争の関係性を見出しました。
そのため、《大村焼》は有田焼の製作工程や技法を踏まえつつ、あえて「陶製手榴弾」をモチーフとして選び、制作しています。
愛らしく、ポップにも見える《大村焼》ですが、そのかたちの奥には、朝鮮と日本のあいだに横たわる複雑な歴史、戦争、そして政治があります。
この小さな陶器が、私たちの暮らしのなかで語りかけてくるものがあると信じています。
もし《大村焼》を手にとっていただけたなら、文化と戦争の関係や、移動・境界といった問いにも、思いを巡らせていただければ幸いです。
※商品について
すべて手作業で制作しているため、一点ごとに風合いや表情が異なります。個体差も含めて《大村焼》の魅力と感じていただけましたら幸いです。
ご不明な点がございましたら、ご購入前にお気軽にお問い合わせください。